韓国の全国化学繊維食品産業労働組合(化繊食品労組)IT委員会は7月15日、Wemade創業者による保有株式の売却について声明を発表した。Wemadeが保有する中核IPが中国資本の影響下に入る可能性があるとして、「IP主権の喪失」につながりかねないと懸念を示している。
Wemadeは6月30日、創業者で取締役会議長のパク・グァンホ氏が保有する1335万738株を、NeoPulseへ売却する株式譲渡契約を締結したと公示した。売却対象はWemade株式の39.33%で、取引総額は9200億ウォン。契約金920億ウォンは支払い済みで、残金8280億ウォンは10月30日に支払われる予定となっている。
取引完了後、NeoPulseは既に保有している0.92%を含め、Wemade株式の40.25%を保有する最大株主となる。NeoPulseは韓国法人だが、香港の投資運用会社Shengsong Investmentが全株式を所有している。代表を務めるチェン・ウェイ氏は、Alibaba側と緊密な関係を持つ人物と報じられている。
NeoPulseはWemadeへの投資理由として、MMORPGの開発力と『MIR』シリーズが中国市場で持つ競争力を挙げている。今後は中国を含む世界市場向けの新作開発や、中国のIT企業、ゲーム開発会社、パブリッシャーとの協力拡大、ゲーム開発へのAI技術導入を進める方針だ。
これに対してIT委員会は、今回の取引がWemadeだけの問題ではなく、韓国ゲーム業界で同様の事例が続く「ポストWemade」時代の前兆になり得ると主張した。韓国企業が蓄積してきたIPや技術資産が海外資本の利益を優先して利用され、国内の開発・雇用基盤が弱体化する「産業の空洞化」につながる可能性があるとしている。
雇用面についても、株式売却をめぐって現場の労働者との意思疎通がなかったと批判し、企業価値の低下や人員削減などの雇用不安に発展する可能性を指摘した。
IT委員会はWemadeの創業者と経営陣に対し、株式売却が事業や労働者に与える影響を公開し、具体的な雇用安定策を示すよう要求した。韓国政府には、中核IPの海外流出を防ぐ対策に加え、2025年10月に施行されたゲーム産業法の「国内代理人指定制度」に対する管理・監督権限の強化を求めている。文化体育観光部と雇用労働部が、海外資本の影響下にあるゲーム会社を対象とした特別な監督体制を設けるべきだとも主張した。
ただし、公示された取引対象はパク・グァンホ氏が保有するWemade株式であり、『MIR』などのIP自体が直接売却される契約ではない。声明発表時点で、IPの国外移転や人員削減が決定した事実も示されていない。「IP主権の喪失」や雇用不安は、今回の経営権移転に対して労組側が示した懸念である。
株式譲渡契約は6月30日に公表済みで、今回の動きは7月15日に発表された労組側の反応という続報にあたる。取引自体も完了しておらず、予定どおり残金が支払われた場合、10月30日に最大株主が変更される見通しだ。
